鈴木無花果
鈴木無花果 焼肉-役立たず-刀
       

HAVE A CACTH

俺の店で生レバーが喰いたいならユーモアってもんがなくちゃいけない。
ウチは堺の焼肉屋。
例えばこんなふうに注文する。レバーのブタ。
豚のレバーって意味じゃない。”焼く”無しだからブタだ。
そんなわけで今目の前にいる彼にはレバーは出せない。
「食べさせてくださいよ、レバー!」
どう見ても警察の内偵。
お堅い人には俺たちのことなんて理解できないってこと。
焼き用のレバーを渡してあしらう。
「兄さん、もっと頭柔らかくせなあかんよ」
その後も彼は毎週のように訪れて、なんとなくうちの流儀が分かってきたようだ。
「レバーください!役立たずで!」
なるほど、焼くに絡めるのね、と感心して、レバーを丸ごと5キロ、”断たず”に出してやったら凄い顔をしていた。

その後も彼は足しげくウチに通い、毎回レバーを焼いて喰って帰っていった。
半年ほど経ったある日、席に着くなり彼は、今日でここに来るのは最後だと言う。
「最後にレバーください。低いところから出して」
“ロー”だ。
蝋燭でも出したろか・・・と考えていると、目の前に紙が突き出される。
「銃刀法違反の容疑で、逮捕します」
は?
彼の狙いは生レバーなんかではなく、俺の店で行われている銃器と刀剣の取引。
「この半年、ずっと調査を続けてましたが、この店内では全て隠語で取引されているので苦労しました。でも、あなたがユーモアを教えてくれました」
俺はついつい笑ってしまう。
おもろいこと言うね、兄さん。

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