鈴木無花果
鈴木無花果 天使-テレビ-観葉植物
       

天使さまはインキュバス?

ある時気がついた。
俺はこのテレビ番組を見たことがある。
デジャブなんてもんじゃない。何度も何度も見たような気がする・・・。
すると突然後ろに気配を感じる。
気難しそうな青年が暗い顔で立っている。呆れているような、落胆したような。
部屋の中なのにいつの間に侵入したのか?

暗い顔の青年は告げる。
青年は天使のようなものである。
お前は心残りがあったまま死んだため、死ぬ前の生活を繰り返している。
その心残りを晴らす手伝いのために青年はいる。
青年の目は俺が育てている観葉植物のアロエちゃんに注がれている。

数日経って、青年が神妙な面持ちで俺に告げる。
十分に育った、と。お前は本来今日、死ぬ。
青年曰く、俺の心残りは、”自分が育てたアロエを使った自慰がしてみたかった”だそうだ。
このくだらない願いを叶えるまで、俺はこの数週間を何度も繰り返していて、しかし、いざと自慰をしようもすると、食べ物にそんなことは出来ない!と騒ぎ出すのだそうだ。育ちが良いことにもデメリットってあるんですね。

任せて頂きたい。
というわけで早速俺はアロエちゃんの葉?を切り取り、紙コップに詰めていく。
真ん中に隙間を開けて・・・。

ダメだ、萎えてしまった。
やっぱり俺にはこんなこと・・・。
ええい!まだるっこしい!と割り入ってくる青年。

※シーン突入

想定以上にサイコーだ。
確かにこの気持ちよさを知らずに死ななくて良かったと思わせる体験である。
フィニッシュの瞬間には少し、怪しい河原が見えた気がする。

すっかり賢者の俺は気まずそうな青年に声をかける。
「じゃ、さよならだな」
俺は部屋を出て道路に出たところ、トラックに轢かれることになっている。
道路に出た瞬間、俺は強い衝撃に襲われる。
遠のく意識の端に、手を伸ばすあの青年の顔・・・。

ある時気付いた。
俺はこのテレビ番組を見たことがある。
振り返ると、気まずそうな青年。
「あぁ、やっぱりダメだった」

顛末。
毎度”こう”らしい。

青年は俺の自慰を手伝うとどうしても俺に欲情してしまい、俺と離れたくなくなってしまう。
そしてトラックに轢かれる俺を助け、自分がその命を落とす。
青年の死ぬ時の心残りは、俺に死んでほしくない、ということ。
ちなみに、俺がルール通り死んでもそれはそれで悲しいからダメらしい。

ループしているのは俺ではなく、俺と結ばれたいという青年。
そして青年が死ぬ限り、俺はループから抜け出せない・・・。

必死に俺のものを舐める彼の頭を撫でながら思う。
まぁ、気持ちいいからオッケー!

コメント

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