鈴木無花果
鈴木無花果 天守閣-メモ-摘まむ
       

犬猿の仲

S市にあるA城の研究をしていたT教授が行方不明。
資料には、天守閣の周りで鼻を摘む人々の絵。
その横には”犬猿の仲”のメモ書き。
宮城県警捜査第二課、橋本は調査に乗り出す。
今回もオカルト刑事です。

S市は以前から猿を大事にする風土がある。
確かに、猿の像がそこかしこにある。

係員は手慣れた様子で城の歴史について語る。
彼はこの城の当主の末裔であり、この城を守っているのだとか。
天守閣はがらんどう。
見栄を張るためだけに作られた天守は何にも使われていなかったんだとか。
しかし各所にひっかき傷が気になる。
誰も使っていなかったせいで、猿が住み着いてしまい、その猿たちがつけた傷だそうだ。
その猿たちが糞を投げるので、人々が天守の近くを通る際には鼻を摘んで歩いたとか。

周囲を見回ると天守閣の裏手の祠が目に留まる。
夥しい数の白骨。犬と、人間。
そして探していたT教授。の死体。
後ろから先程の係員が襲いかかってくる。
すんでのところで組み伏せる。
この城には闇に葬られた歴史があり、彼はそれを守ろうとしたのだった。

真実と顛末。

昔、梅毒は牝犬と性交することで治るという迷信があった。
性に奔放な当主が梅毒にかかり、大臣たちは藁にもすがる思いで当主に犬を差し出したが、当主は犬と性交などできるかと激昂した。
そこで大臣たちは、城下の女を集めた。
誰も立ち入らない天守を使って、女たちを犬と同じ空間で、犬と同じように生活させた。
当主が性交できる犬を作り上げたのだ。
色に狂った当主は大喜びでその女たちとまぐわい、女たちは無用に梅毒に感染していった。

果たして当主の病は治るはずもなく。
犬の如く不衛生に扱われ、身体じゅうに腫瘍を作った女たちの腐った皮膚から放たれる異臭は天守の周辺にも漏れ出した。
城下の者たちが天守の近くを通る際には皆、鼻を摘んで歩いたそうな。

かくして当主の死後、女たちと犬の祟りを畏れた次の当主と大臣たちは、犬を遠ざけようと領地内に猿を祀ることとしたのだった。

聴取室で彼に橋本が言う。
「臭い物に蓋はできないもんだよ」

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