鈴木無花果
鈴木無花果 忍者-キツネ-ニート
       

エキノコックス

俺さ、できちゃった。螺旋丸。
5年ぶりに会った大学の同期、コウタはほくそ笑んだ。
喫茶店の角の席。
ニートのやり過ぎでおかしくなったのか?と訝しむ僕にコウタは懐から水風船を取り出す。
そしてそれを挟むように持ち、力を込めると、水風船の中でボゴボゴと水が渦巻き、破裂した。

俺さ、ずっと練習してたんだ、忍者、ってかNARUTOに憧れてさ。
トリックを疑う僕にコウタは続ける。
NARUTOといえば、ということでキツネの祀られた神社へ向かったコウタはそこで、不思議な巫女と出会う。
巫女はキツネの神の使いであると名乗り、コウタにキツネのチカラを与えたのだとか。

だからこれはトリックなんかじゃない。
キツネさまの力なんだとか。
そんなのデタラメだ!僕が大きな声を出すと、店員さんに注意をされてしまった。お静かに。

一番信用できる奴を連れてこいって言われたんだ、とコウタ。
ニートでも友達のままでいてくれるお前にもこの力を手に入れて欲しいんだ。

コウタに連れられて件の神社がある場所についたが、そこには神社なんて無かった。
振り返るとコウタの姿もなかった。
代わりにそこに横たわっているのは、キツネの死体。

キツネに化かされていた、という奴なのか・・・?
キツネの死体を覗き込むと、その開かれたままの目には、何か白い、蜘蛛の糸のようなものが張り巡らされていた。
そしてその身体がビクビクと痙攣し始めた。

ある可能性に気付く。
僕は一目散にその場を逃げ出した。

ある虫は、別の虫の脳を支配し、更にその身体にタマゴを産みつける。
そうして自分の子供のために餌を供給するゾンビにしてしまうのだとか。
この化けギツネの脳が既にその”虫”に支配されていたとしたら、僕はその”虫”のディナーにされようと、ここまで連れてこられたのではないか?

背後から何か、動物の身体が弾けるような音がしたが、僕は振り返ることが出来なかった。

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