(本名)
(本名) おかず-布団-無意識
       

無意識の日々

猫村 忠治がコンビニからでたのは、猫村のことをいじめている上司の坂下に似た男がコンビニの中にいたからだった。本当に無意識だった。猫村は結局晩飯のおかずを買えなかった。

猫村は社内で調整役が多かった。アサインされる仕事も炎上しているプロジェクトにいれられて、他の人に頭を下げてどうにかやってもらうという内容ばかりだ。
そんな猫村に坂下はいつも嫌みを言っていた。さして手伝ってくれるわけでもないし、失敗はいつも猫村のせいになっていた。
もちろん猫村があげた手柄は坂下のものだ。

布団に潜り目をつぶっても眠れない日々だった。起きると必ず寝汗をかいていて、布団はいつもぐっしょり濡れていた。

つらすぎる毎日に嫌気が差して首をつろうと思い、ホームセンターへ行った。
ぶら下がり健康機と車の牽引ロープを買おうとしたけれど、無意識のうちにホームセンターの隣のラーメン屋へ入りラーメンをすすっていた。おかずに餃子を一品追加したりしていて、そんな自分になおさら自己嫌悪が止まらなかった。

そんな日々にある時、終止符が打たれる。
猫村はエレベーターにのり自分のフロアへ向かう。坂下の顔がちらついて離れない。最悪だ。また、顔を合わせれば何か嫌みを言われるのだろう。
そう思っていたまさにそのとき、途中でドアが開く。目の前には坂下がいた。
「う、うわぁ!!」とっさに猫村は坂下の顔面にパンチをいれてしまった。
完全に無意識だった。殴られた坂下はびっくりした表情を浮かべたが、やがて笑い出してしまった。つられて猫村も笑う。

そしてその晩に、謝罪を兼ねた飲み会を行った。そこで実は坂下が猫村のことを買っていることや別に猫村の手柄はとっておらず、その手柄をタネに猫村に昇進の話が出ていることなどを伝えてくれた。
なんだ。つらいと思っていたが、自分の勘違いだった。ただのボタンの掛け違いが起きていただけだったのだ。自分の努力は認められていたのだ。よかった。
これでようやっと、布団でぐっすり眠れそうだ。
ビールを一息に飲みほして、猫村はほっと、安堵の表情を浮かベるのだった。

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